WESTERワールドの進化と金融参入。
『高度な認証』と『快適なUX』の両立が急務に
JR西日本グループは、鉄道だけでなくホテルやショッピングセンター、不動産など幅広い事業を展開している。コロナ禍を経て鉄道事業への依存リスクを再認識した同グループは、『暮らし』そのものを支える企業への変革を目指し、『中期経営計画2030』において鉄道以外の収益比率を60%程度まで引き上げる目標を打ち出した。
その中核を担うのが、旧来の列車予約用ID等を統合し、2023年3月にリリースされたグループ共通ID『WESTER ID』だ。各サービスで分断されていたIDやポイントを統合し、シームレスな顧客体験を提供する重要な基盤となっており、現在では1,300万人以上(2026年5月末時点)の会員基盤へと拡大している。
同グループではこれまで、『WESTERアプリ』をはじめ『モバイルICOCA』や『tabiwa』、『WESTERモール』など、顧客接点を広げる多様なサービスを展開してきた。さらに次なる一手として、このWESTER IDを軸とした金融サービスの拡充に乗り出している。2025年のコード決済『Wesmo!』の開始に加え、2027年にはりそなグループとの業務提携によるBaaS(Bank as a Service)『WESTER ミライバンク(仮称)』の展開も予定されている。
※参考:JR西日本とりそなグループによる資本業務提携について(2026年5月1日 プレスリリース/PDF)
プロジェクトを牽引する共創ソリューション本部の柴田修作氏は、当時の課題を次のように語る。
西日本旅客鉄道株式会社 共創ソリューション本部 柴田 修作様
大規模改修なしでパスキー認証をアドオン。
NRIの製品力と伴走力を評価
セキュリティ向上とUXを両立させ、WESTERサービスのさらなる拡大に対応できるID基盤へと進化させる手段としてJR西日本グループが着目したのが、スマートフォンの生体認証などを利用する『パスキー(FIDO)認証』だった。証券や銀行系サービスでも業界標準となりつつあるこの技術を、既存のWESTER ID基盤にどう組み込むか。複数ベンダーを比較検討した結果、採用されたのがNRIの『Uni-ID Libra FIDO』である。
選定の決め手は、『導入実績やセキュリティ担保、サポート体制等の製品力』に加え、NRIの『総合的な支援力』にあったという。
システム導入を主導したJR西日本ITソリューションズの菊川桃子氏も、NRIの伴走姿勢について次の通り評価する。
株式会社JR西日本ITソリューションズ カスタマーソリューション本部 菊川 桃子様
大規模基盤でのトラブルゼロの安定稼働。
今後のカギは『価値の訴求』と『金融連携』
導入にあたり、OSやブラウザごとの仕様の違いについても綿密な検証が行われた結果、リリース後はシステムトラブルもなく、安定した稼働を続けている。さらに、パスワード忘れといった従来のログイン方法に関する問い合わせ件数が減少しており、運用負荷の軽減という明確な効果も現れている。
一方で、現状のリアルな課題と次なる打ち手について、柴田氏は冷静に分析している。
さらに、サービスによってはパスキー認証が必須化となる可能性があることも見据え、利用者の裾野は一気に拡大する見込みだ。急激なトラフィック増加を見据え、システムのスケーラビリティ確保に向けた準備もNRIと共同で進めている。
デジタル・リアルに関わらずサービス群をシームレスに連携。
WESTERワールドの拡大を支える柔軟なID基盤へ
WESTER IDの基盤は、高度なセキュリティと利便性を備えたことで、さらなるサービス拡張への準備が整った。今後、『WESTERアプリ』や『モバイルICOCA』、『WESTERモール』といったデジタルサービスに加え、まちづくりなどのリアルな顧客接点、そして本格化する金融サービスをWESTER IDを中心にシームレスにつなぐ『WESTERワールド』の拡大が加速していく。

ビジネスの成長に伴い、次々と新たなサービスが接続されるID基盤。その運用と拡張を支えるパートナーとして、JR西日本グループはNRIに大きな期待を寄せている。
※本文中の組織名、職名は2026年9月時点のものです。




