西日本旅客鉄道株式会社

WESTERサービスの多角化を見据え、グループ共通ID「WESTER ID」にパスキーをアドオン導入。セキュリティとUXを両立し、WESTERワールドの成長基盤を強化

西日本旅客鉄道株式会社

移動に関わるサービス企業から『暮らし』を支える企業への変革を目指し、デジタル戦略を推進するJR西日本グループ。2023年3月よりグループ共通ID『WESTER ID』と『WESTERポイント』を中心としたサービスを開始し、そこから多彩なサービスを順次展開してきました。さらに2025年には、鉄道会社初のコード決済サービス『Wesmo!』を開始。既にリリースした多様なサービスにおけるセキュリティ強化とUX向上、そして今後のさらなるサービス多角化や金融サービス拡大を見据え、ID基盤強化策としてUni-ID Libra FIDOを導入しました。既存のID基盤を活用しながら低負荷かつスピーディにパスキー(FIDO)認証を実装し、決済、ポイント、各種サービスをシームレスにつなぎ、便利でおトクで楽しい顧客体験とセキュリティ強化を両立しています。

ここが
ポイント

  • 既存ID基盤を活かし、短期間・低負荷で最新の認証技術をアドオン
    既存ID基盤を大規模改修することなく、SaaS型の『Uni-ID Libra FIDO』をAPI連携で導入。システムへの影響を最小限に抑え、スピーディな実装を実現
  • 『金融基準のセキュリティ』と『快適なユーザー体験(UX)』を両立
    今後の金融サービス展開に耐えうる強固なセキュリティを確保しつつ、パスワードレス化によりユーザーの利便性を向上。ログイン関連(パスワード忘れ等)の問い合わせも減少し、運用負荷を軽減。
  • ID・認証のプロフェッショナルによる『伴走支援』で複雑な課題をクリア
    OSやブラウザごとに異なるFIDOの複雑な仕様に対し、NRIが専門家の知見をもって課題整理や検証を徹底サポート。要件定義からテストまで先回りした伴走支援で安定稼働を実現。

WESTERワールドの進化と金融参入。
『高度な認証』と『快適なUX』の両立が急務に

JR西日本グループは、鉄道だけでなくホテルやショッピングセンター、不動産など幅広い事業を展開している。コロナ禍を経て鉄道事業への依存リスクを再認識した同グループは、『暮らし』そのものを支える企業への変革を目指し、『中期経営計画2030』において鉄道以外の収益比率を60%程度まで引き上げる目標を打ち出した。

その中核を担うのが、旧来の列車予約用ID等を統合し、2023年3月にリリースされたグループ共通ID『WESTER ID』だ。各サービスで分断されていたIDやポイントを統合し、シームレスな顧客体験を提供する重要な基盤となっており、現在では1,300万人以上(2026年5月末時点)の会員基盤へと拡大している。

同グループではこれまで、『WESTERアプリ』をはじめ『モバイルICOCA』や『tabiwa』、『WESTERモール』など、顧客接点を広げる多様なサービスを展開してきた。さらに次なる一手として、このWESTER IDを軸とした金融サービスの拡充に乗り出している。2025年のコード決済『Wesmo!』の開始に加え、2027年にはりそなグループとの業務提携によるBaaS(Bank as a Service)『WESTER ミライバンク(仮称)』の展開も予定されている。
※参考:JR西日本とりそなグループによる資本業務提携について(2026年5月1日 プレスリリース/PDF)

プロジェクトを牽引する共創ソリューション本部の柴田修作氏は、当時の課題を次のように語る。

柴田氏: 「多角化するWESTERサービスと金融サービスの展開に向けては、高い基準のセキュリティ担保と認証の強化が必要不可欠でした。しかし、セキュリティを高めるために認証手順を複雑にしてしまえば、お客様の利便性を損なう恐れがあります。既存サービスをこれまで通り快適にご利用いただきながら、いかに安全性を担保するかが大きなテーマでした」

R_000459西日本旅客鉄道株式会社 共創ソリューション本部 柴田 修作様

 

大規模改修なしでパスキー認証をアドオン。
NRIの製品力と伴走力を評価

セキュリティ向上とUXを両立させ、WESTERサービスのさらなる拡大に対応できるID基盤へと進化させる手段としてJR西日本グループが着目したのが、スマートフォンの生体認証などを利用する『パスキー(FIDO)認証』だった。証券や銀行系サービスでも業界標準となりつつあるこの技術を、既存のWESTER ID基盤にどう組み込むか。複数ベンダーを比較検討した結果、採用されたのがNRIの『Uni-ID Libra FIDO』である。

選定の決め手は、『導入実績やセキュリティ担保、サポート体制等の製品力』に加え、NRIの『総合的な支援力』にあったという。

柴田氏:「『Uni-ID Libra FIDO』は、既存ID基盤に追加でパスキー認証をアドオンできる、というポイントに加えて、大規模システムにおける豊富な運用実績や、セキュリティ担保・サポート体制水準の高さについても評価しました。また、NRIが持つ伴走力についても期待をしていました。WESTERポータルや旅行系アプリなど、パスキー以外の領域でも複数の支援実績があり、コンセプト策定からリリースまで一貫して任せられる信頼感が決め手になりました」

システム導入を主導したJR西日本ITソリューションズの菊川桃子氏も、NRIの伴走姿勢について次の通り評価する。

菊川氏:「導入実績の規模感やセキュリティ水準の高さはもちろんのこと、技術面でのやり取りも非常にスムーズでした。NRIの担当者はこちらの疑問を先回りして整理してくださり、レスポンスも極めて迅速。お互いにボールを持ち越さない進行ができたため、1年間にわたるプロジェクト期間中、システム面で苦労した記憶がほとんどありません」

R_000462株式会社JR西日本ITソリューションズ カスタマーソリューション本部 菊川 桃子様

大規模基盤でのトラブルゼロの安定稼働。
今後のカギは『価値の訴求』と『金融連携』

導入にあたり、OSやブラウザごとの仕様の違いについても綿密な検証が行われた結果、リリース後はシステムトラブルもなく、安定した稼働を続けている。さらに、パスワード忘れといった従来のログイン方法に関する問い合わせ件数が減少しており、運用負荷の軽減という明確な効果も現れている。

一方で、現状のリアルな課題と次なる打ち手について、柴田氏は冷静に分析している。

柴田氏:「システムでのパスキー認証対応はできましたが、パスキー利用者数の拡大はこれからの課題です。パスワードマネージャーとの違いが伝わりにくいなど、デジタルに疎いお客様には、まだパスキーの価値が届ききっていません。今後はサービスのご利用時など、お客様の動線上で自然にパスキー登録を促すようなUX改善を進めていきます」

さらに、サービスによってはパスキー認証が必須化となる可能性があることも見据え、利用者の裾野は一気に拡大する見込みだ。急激なトラフィック増加を見据え、システムのスケーラビリティ確保に向けた準備もNRIと共同で進めている。

デジタル・リアルに関わらずサービス群をシームレスに連携。
WESTERワールドの拡大を支える柔軟なID基盤へ

WESTER IDの基盤は、高度なセキュリティと利便性を備えたことで、さらなるサービス拡張への準備が整った。今後、『WESTERアプリ』や『モバイルICOCA』、『WESTERモール』といったデジタルサービスに加え、まちづくりなどのリアルな顧客接点、そして本格化する金融サービスをWESTER IDを中心にシームレスにつなぐ『WESTERワールド』の拡大が加速していく。

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柴田氏:「デジタル・リアルに関わらず多様なサービスをWESTER IDでシームレスにつなぎ、一人ひとりに最適化された体験価値を提供することで、お客様のライフタイムバリュー最大化を目指します。西日本の『暮らし』を支えるプラットフォームとして、WESTER IDは今後、さらに高いセキュリティと柔軟な拡張性が求められる中核基盤へと発展していきます」

ビジネスの成長に伴い、次々と新たなサービスが接続されるID基盤。その運用と拡張を支えるパートナーとして、JR西日本グループはNRIに大きな期待を寄せている。

柴田氏:「多くのお客様が安心・安全にサービスをご利用いただけるよう、安定稼働と、万が一の障害発生時の迅速な連携・対応スピードは、引き続きお願いしたい部分です。それに加え、パスキー以外のID基盤機能の更なる強化など、WESTERワールドの拡大に必要な施策についても、共に考え、拡張していく共創パートナーとしてNRIには大いに期待しています」

※本文中の組織名、職名は2026年9月時点のものです。